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 サンディエゴ市が、自動車カーシェアリングサービス「Car2Go」を導入したのは2011年のことだった。Car2Goは、スマート社の小型自動車「フォーツー」を使った会員制サービスで、予約不要で利用でき、路上に乗り捨ても可能という画期的な試みだ。手がけるのはダイムラーの子会社で、サービスと同名のCar2Go社だ。

 フォーツーには、ガソリン自動車と電気自動車の2つの仕様が存在する。サンディエゴ市は、導入する全車両に電気自動車を選んだ。

 環境負荷低減および、都心部の道路渋滞の解決策として、電気自動車のカーシェアリングは現在注目されている。

 だが、この計画は頓挫することになる。今年4月をもって、市内のCar2Go車は、電気自動車からガソリン自動車へと入れ替わる。その原因となったのは、充電インフラの不足と、航続距離という問題だ。

 都心部における電気自動車カーシェアリングの普及に、チャージステーションの充実がどれほど重要な役割を担うかを、Car2Goとサンディエゴ市は図らずも証明してしまった。地元紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューンによれば、当初の計画では、1000箇所のチャージステーションを稼働させる予定だったという。しかし、実際のサービス開始時に配備されたのは、わずか400箇所に過ぎなかった。

 市内のサービス利用者およそ4万人は、バッテリー切れの心配を常に抱えなければならなかった。

 Car2Goは、スマートフォンと連携することによって、近場で利用可能な車両を、会員が即座に検索することができる。そして、市内に導入された400台のうち約2割が、バッテリー切れのため、常に利用不可能な状態だったという。この問題を解消するために、Car2Go社は、導入済みの全車両をガソリン自動車のフォーツーへ置き換えると発表した。

 この決定が、サンディエゴ市の環境問題への取り組みと、Car2Go社の電気自動車カーシェアリング事業へ与える打撃は大きい。利用料金は今年5月より大幅に値下がりし、1分あたり41セント(約47円)から19セント(約22円)となる。

 Car2Go社の思惑としては、近々サンディエゴへ進出するカーシェアリングサービスの競合他社「ジップカー」「ドライブナウ」へ先手を打っておくという面もあるだろう。

 この計画において、なぜサンディエゴ市は、電気自動車にフォーツーを選んだのだろうか。この車の航続距離は、EPA(米国環境保護庁)基準で68マイル(約109km)しかない。完全に充電する暇もなく、次々と乗り換えるような用途には不十分だ。ベースグレードで84マイル(約135km)、SVグレードでは107マイル(約172km)の航続距離を持つ日産「リーフ」ならば、計画にはより適していたはずだ。

 そして、フォーツー最大の問題は充電時間にある。バッテリーが空の状態から完全に充電されるまで、6時間もかかる上に、急速充電にも対応していない。バッテリー切れの車両を慢性的に抱えていたのも、これでは当然だろう。

 Car2Goは失敗に終わったが、サンディエゴ市はまだ電気自動車カーシェアリング構想を諦めていないようだ。現地のガス・電力会社「サンディエゴ・ガス&エレクトリック」は、2019年までに、市内および、近隣地域へ3500台の充電器を配備する試験計画を進めている。集合住宅の大型駐車場など350箇所に、充電器をそれぞれ10台ずつ設置し、合計3500台という計算だ。

 交通混雑、排ガス公害という問題は、世界中の都市で大きな懸念となっている。電気自動車カーシェアリングは、それを一挙に解決する可能性を秘めているが、普及には充電インフラの整備が不可欠だ。研究と実際の運用はまだ始まったばかりであり、サンディエゴ市とCar2Go社の失敗は、些細なつまずきに過ぎない。


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Why Electric Car Sharing Died in San Diego

Car2Goもスマートもダイムラーの子会社なので、フォーツーがダメなら他社の電気自動車に切り替えようってわけにもいかず。

日本でもカーシェアリングの実験は始まってますが、鉄道網が充実する日本の都心部では、あまり有効活用できそうもない。
路上駐車禁止だから、乗り捨てもできないし。
軽い移動手段の自転車シェアとかは面白そうですが。